日本経済研究センターが10日発表した7月の国内総生産(GDP)は、物価の影響を除く実質で前月から0.2%増えた。プラス成長は2カ月連続。
設備投資は2.7%、個人消費は1.4%減少し、内需はマイナスに転じた。米国や中国向け輸出が大幅に増加し、外需が全体を押し上げた。
2020/9/11付 日本経済新聞
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コラム:米中・大統領選・FRB、ドル円膠着を破る3つのリスク

[東京 11日]
- 安倍晋三首相の辞任に伴い、9月8日、自民党総裁選が告示された。
日本の次期総理大臣のポジションを賭けたレースが始まる。とはいえ、自民党内のほとんどの派閥が菅義偉官房長官の支持を表明している状況では、同氏が後任になるのはほぼ確定だろう。
この場合、現行の政策はそのまま継承されることになるため、金融市場への影響はほとんどないとみている。

ただ、仮に為替市場に影響があるとすれば、円高方向ではないか。
後任の総理大臣は、米中の摩擦が一層激化する中で、米国を支持しつつ経済関係の深い中国とどう向き合うのか、外交面のかじ取りはますます難しくなりそうだ。
これまで首脳同士で特別に強い信頼関係を構築できていた日米間において、日本の総理大臣が交代し、米国でも11月の大統領選で大統領が交代する可能性があるという不透明な環境だ。今後も、日米間で現在の良好な関係を維持できるかどうかが鍵となろう。

もし、これまでの親密な関係が薄まる、あるいはかじ取りを間違えるようなことがあれば、米国側が再び日本に対して貿易問題や為替問題を持ち出すかもしれない。その場合は円高・株安などのリスクにつながるとみている。

ただ、後任の総理大臣は日米関係を重視し、安倍・トランプの親密さを維持しようとするだろうし、黒田東彦日銀総裁の下で金融政策にも変更はないであろうことを踏まえれば、基本的には日本発の材料で、為替が大きく動くことは想定しづらい。下期の為替相場を展望するにあたって、注目すべきはやはり米国の材料ではないだろうか。

特に、足元で膠着感を強めているドル/円相場のボラティリティーが上昇するリスクがあるとすれば、筆者は1)米中関係、2)米大統領選、3)米連邦準備理事会(FRB)の金融政策──の3点が要因になり得ると予想している。

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<対中強硬姿勢を競うトランプ、バイデン両氏>

3つの中でドル/円相場への影響が最も大きくなりそうなのが米中関係だが、ここにきて一層冷え込んでおり、何らかのきっかけで金融市場がリスクオフに転じ、円高が進む可能性はあるとみている。

調査機関ピュー・リサーチ・センターが2020年7月30日に公表した米国人の対中感情に関するアンケート調査結果によれば、中国について「好ましくない」と回答した人の割合は73%と、2018年比で26ポイントも増加した。もちろん新型コロナウィルスの影響が大きいとみられるが、ここにきて米国人の対中感情は悪化傾向にある。

「習近平国家主席が国際的に正しいことをしていると思うか」との質問に対しては、77%が「信頼していない」と回答した。興味深いのは、新疆ウイグル自治区の人権問題に関する設問だ。これについては73%が「中国との2国間の経済関係を阻害したとしても、中国における人権の保護を促進すべき」と答えた。

このところ対中強硬姿勢を強めているトランプ大統領の支持率は、依然として民主党の大統領候補であるバイデン前副大統領の後塵を拝しているとはいえ、じわり回復しつつある。トランプ大統領が「中国叩きは票になる」と思えば、さらなる強硬策に出る可能性もあるだろう。

8月24日に米中閣僚級協議(電話会談)が実施され、通商交渉の「第1段階」の合意はとりあえず維持されることとなった。ただ、米大統領選に向けてトランプ、バイデン両陣営が、対中強硬姿勢を競い合っているようなところもあり、今後米中関係が一段と悪化するリスクは残る。また、どちらの候補が勝っても、大統領選以降も米中摩擦は続く公算が大きい。

8月末には南シナ海で、中国が米国へのけん制からかミサイルを発射するなど、緊張が高まっているのも気がかりだ。もし米中関係がさらに悪化し、いったん合意した米中通商合意がご破算になるようなことがあれば、米株安、大幅な円高は避けられないだろう。
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したがって、新たな大統領が選挙期間中に述べてきた公約を実行することへの期待は大きく、これがドル/円上昇の背景にはあるとみている。今年については、米中関係の悪化、また、FRBの緩和的な金融政策などがドル/円の上値を抑える可能性が高く、選挙後にドル/円が2016年ほど鋭角に上昇する可能性は低い。

ただ、大統領が決まれば、少なくとも株式市場はポジティブに反応し、これにつれてドル/円も小幅ながら上昇すると予想する。もっとも、注目すべきは、議会選でどちらの政党が上下院の過半数議席を獲得するかだ。

今のところ、下院は民主党が確保するのがほぼ確実のようだが、仮に上下両院を民主党が押さえても、トランプ氏が再選すれば民主党の政策に対して拒否権を濫用する可能性がある。また、バイデン氏が勝利しても上院を共和党が握れば、審議妨害(フィリバスター)によって、同様に政策が停滞する可能性もあるだろう。大統領と上院の「ねじれ」は、政策実行に対する懸念により株安から円高の流れとなる可能性もあるため、注意が必要だ。

FRB

<FRBの追加緩和、為替には穏やかな影響>

最後にFRBの金融政策だが、円高リスクとはなり得るものの、さほどドル/円相場への影響は大きくないとみている。パウエルFRB議長はジャクソンホール・シンポジウムでの講演で、2%程度のインフレ目標を平均的に達成していくとの新しい指針を示した。
ただ、長期的なハト派スタンスをコミットしただけで、これまでと具体的な政策に大きな変化はないだろう。

仮に今後、米国版イールドカーブ・コントロール(イールドカーブ・ターゲット、YCT)を導入するなど、さらなる追加緩和に踏み切れば一段とドル安が進行する可能性もある。その時は米株価が上昇するため、リスクオンとなり、円安圧力もかかりやすくなるが、初動においてはドル安の力が勝り、ドル/円がじわりと下落する可能性はあるだろう。

ただ、日米金利差が極限まで縮小したなかで、ドルと円が似たような動きをする傾向には変化なく、米中関係が急速に悪化するようなことがない限り、ドル/円は大局的には値動きに乏しい環境が続こう。一方で、金融緩和による通貨価値の低下(ドル安・円安)の裏で、株価や金価格などのような資産価格の堅調地合いは続くとみている。
(ロイター 為替フォーラム 2020年9月11日)