黒田総裁

日本銀行は16日、正午から金融政策決定会合を開くと発表した。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けて国際金融市場が急速に不安定化する中、景気下支えと金融市場の安定に向けて追加の金融緩和策が議論される可能性が大きい。相次いで追加緩和策を打ち出している各国の中央銀行と足並みをそろえる見通しだ。

  日銀は同日、米連邦準備制度、欧州中央銀行(ECB)、イングランド銀行、カナダ銀行、スイス国立銀行と共に、米ドル・スワップ取り決めを通じた流動性供給を拡充するための協調行動も発表した。主要国の中央銀行が協調してドル資金の供給強化に乗り出すことで市場の安定確保を図る

今月18、19日開催予定の金融政策決定会合の日程を前倒し、1日間で実施する。日銀は「最近の金融経済情勢の動向を踏まえ、必要な金融調節事項の検討を行うため」としている。

  会合では、新型コロナの感染拡大による金融市場の動揺や企業・消費者心理の悪化を回避するため、感染拡大で影響を受けている企業の資金繰り支援のほか、指数連動型上場投資信託(ETF)をはじめとした資産買い入れの拡充など追加の金融緩和策が打ち出される可能性がある。

現在マイナス0.1%の短期政策金利の引き下げも議論の俎上(そじょう)に乗る可能性があるが、
マイナス金利を深掘りすれば、企業を資金面で支える金融機関の経営を一段と圧迫する可能性があり、日銀内では慎重な声が少なくない

欧州中央銀行(ECB)は12日の理事会で追加の金融緩和策を決めたが、マイナス金利の深掘りは見送った。今月2回目となる異例の緊急利下げに踏み切った米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、15日の緊急の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の会見で、「われわれはマイナス金利が適切な政策対応になる可能性は低いとみている」と発言している。

  野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは16日付リポートで、日銀の前倒し会合について「FRBの今回の決定を受けて、国際協調の観点も踏まえて、金融緩和措置の実施を検討しよう。緊急会合を開くからには金融緩和の実施見送りはもはや考えにくい」と指摘。「現行6兆円から9兆円などへのETFの買い入れ目標の引き上げ、あるいはそれと0.1%の政策金利引き下げが決定されるのではないか」との見方を示した。

  三菱UFJモルガンスタンレー証券の六車治美シニアマーケットエコノミストは電話取材で、日銀会合で何が出てきても、金融市場はリスク許容度低下からリスク削減に走っており、正常化は難しいかもしれないと指摘。市場はもはや景気や物価より、信用不安や流動性不安を懸念しており、マイナス金利深掘りは逆効果との見方も示した。

  日銀の決定会合前倒し開催を受けて、東京市場の株式相場、ドル・円相場とも反応が鈍く、不安定な動きとなっている。